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2017年4月29日 (土)

昨日、いやもうおとといか?

駒沢にあるイベントスペースで、太田真博監督『園田という種目』(93分)2015年作品、 を上映するという催しがあった。SKIPシティIDCFにおける上映作品を選んでいるカンバラさんがナビゲーターとなって、普通はなかなか見る機会がない、若手の映像作家の作品を紹介し、合わせて映画作家と観客が交流するという催しだ。ちなみに映画を撮った太田監督は良い子たちの先輩にあたるひとで、今30代半ばの人。すでに各地の映画祭でいくつも賞ををとっている。
そんで、上映のあと、監督、出演者、ナビゲーターのカンバラさんを交えてあれこれ話すことになった(堀田会)。そんときに、なんかこのブログの話が出て、その時に、「今日のことをブログに書くのか?」的なことを尋ねられた時に、つい調子に乗って、「僕は一旦自分のあたまを通したことしかかかないよ」みたいなことを言ってしまった。

その言明はあやまりである。それで申し訳ないと思い、いっそ、直接的なその日の出来事を書いたほうがイイんじゃね、みたいに思い、この今日のブログを書き始めた。

今書いている今日のブログは、昨日、いやもうおとといか、の事である。で、おとといの夜の催しの事を書こうとすると、太田監督の映画の内容に触れないわけにはいかない。しかし、今回の作品に至る前に太田監督が撮った映画も見ているので、それらも含めて論じないと片手落ちである。説明的にそれをやるのはちとシンドイ。なぜシンドイか、というと、この作品にいたるまでの監督の歩みについて多少の知るところがあり、映画を作っている現場についても多少知っていて、その上、このフィルムには、僕みたいな人が出てくるので、それだけでもなんとも書きにくいのだ。

しかしながら太田監督についてきちっと述べないわけにはいかないし、非常に困る。第一今はもう夜中で眠たくなってきた。でも少しだけ書いとこう。

太田監督の作品の特徴は、登場人物がとにかくよくしゃべることだ。それは多くの場合まったく自然な会話で、その人物がそういう話しっぷりをするのは誠に自然で、リアルおしゃべりをしているところを撮ってるんじゃないか、的な印象を持つのである。だから初めのうちは、太田監督の作品は、イギリスのマイク・リー Mike Leigh 1943~ みたいだ、といっていたのである。ちなみに僕がみたリー監督の映画には、イギリスのカトリン・カートリッジさんという印象的な女優さんが出ていて、その人は、ベルギーの監督がボスニア内戦をえがいた Before the Rain 1994, ベネチア映画祭金獅子賞作品で、とても深い情感のこもった役柄を演じていたのだが、なんと、10年前くらいに若くして亡くなってしまったのである。リー監督のことを考えようとするとカートリッジさんの顔が浮かんで来る。ちなみにおなじころ、ニューヨークの新美術館で、イギリスのアーティスト、ウイリアム・ケントリッジのアニメを見たので、キャサリン・カートリッジとウイリアム・ケントリッジが音の響きのうえだけでときどき混ざってしまうことがある。
ま、それはともかく、太田監督の作品は巨匠といわれるリー監督の仕事かと思わせる何かがある、とおもったのだ。それが正しいのか、違うのかよくわからない。太田監督のやり方は多少は知っているが、マイク・リー監督がどうやって撮っているかは知らないからだ。でも結論だけ言うと、太田監督がやっていることには何か「すごい事」があることにはまちがいない。その点だけについて言うと、今回の作品よりも、前の「レディー・ゴー」とか、「笑え」においてヨリ顕著なような気がする。今回の作品では、会話そのものよりももう少し踏み込んだ、劇団関係者の仲間たちの簡単とは言えないというか、どちらかといえば現代日本の世相そのものである、カンタンにはいかないニガイ面が前面に出ているからだ。そういう事をえがけると言う点では監督にとっては進歩であり、作品世界の構築という点では他のやり方があるとも思えないが、純粋芸術的な観点での「すごさ」という点では、その部分が薄まってしまうこともあるのではないか、みたいな感想も持った。観客の笑いがとれる、っていうのはとてもだいじだし、自然に笑えるっていうのはとても楽しいことであることはまちがいない。笑いが起こるのは観客が安心してその世界を客観的にみているからで、そういう安心を与える事はすでに大メディアが常に求め、日々実現していることなのではないか、ということもチラリと浮かぶ。何がいいとか、ということではないが、「安心」できることは「すごさ」とは対極なようにも思えるのだ。

あーゴメンよー、今日もまた偉そうに書いてるって思わないでね。一生懸命考えてるんだyo



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